西田さんのジャガイモ
北海道河東郡音更町の西田純一さんのジャガイモは格別です。
甘みがあり、香りも強く、「 わぁ、生命力がみなぎっている」という感じです。なにしろ味がいいのです。
煮もの、ポテトチップ、サラダ、酢の物、イモ餅と、なんの料理にも合います。
通常の「男爵」 「メイクイーン」などに比べ、ホクホク感があるので、
早く炊けるのも特徴です。
私たちはひそかに“幻のジャガイモ”と呼んでいます。
一五歳のころから農の道に入った西田さんにとって、札内川流域の、音更川の河川敷を利用した畑地は水と石ころが難敵で、河川敷を使って畑地にするしかなかったそうです。
石ころを一つひとつ手で拾い、じわじわ出てくる水処理には四メートルもの暗渠を掘り、下手の河川に流しました。
畑には豆カス、油カスを使わずに、すべて海のものの堆肥で表土を作り、営々五〇年がかりの土作りでした。
今では四〇ヘクタール (およそ一二万坪) ほどを、小麦、デントコーン(牛の飼料用)で、八〇アール (八反歩)ほどでジャガイモを作っています。
西田さんから大きな段ボールが事務所に届くと、西田純一というお名前のそばに、必ず西田勝子と奥さまのお名前が連記されています。
おれ一人で作っているんじゃない、女房と一緒にやっているんだと宣言しているようで、こちらも嬉しくなります。