神楽坂123青木さんの四季折々つれづれ食材コラム

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つれづれ食材コラム

牛乳は北海道にあり

よつ葉
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効率ばかりの日本の酪農

「健康な牛を作るということは、結局、土作りです」

「土作りは人間づくりでもあります」

健康な牛は牧草や野草を充分食べて育つ―――これが岡田先生の一貫した考えです。よい牧草を作るには、よい土を作らなくてはいけない。よい土を作るためには、放牧した牛の出した糞尿を発酵させ、それを牧場に戻し、生えた草を食べさせる。このように、いのちの循環が大切だと説いていました。

牛舎に閉じ込め、配合飼料と呼ばれているようなものを食べさせていたのでは、牛はまともに育ちません。牧草や勝手に生えてくる雑草が大切なのです。牧草と雑草では似ているようですが違います。牧草は、人間たちが牧畜をするために「こんな草を食べれば牛が元気に育ち、たくさん乳を出すだろう」と考えた草です。一方、雑草は勝手に生えてきます。どこかから種が飛んできて、自然にいろいろな草が生えます。牛の糞尿を発酵させたものをまけば、種が発芽することもあるでしょう。

食べるのに適した草も生えますが、ときには毒を持つ草も出てきます。牛は、食べる草を自分で選びます。毒のある草を食べることもあります。 少量なら毒が薬になることを知っているからです。それを牛は自分で選択します。つまり牧草と雑草どちらもあるほうがいいのです。 あれを食べさせれば乳がたくさん出るとか、これを食べさせると早く生育するとか、人間たちはすぐそういう発想をします。それでは、牛はどんどん弱っていきます。

人間が考えた牧草や人工的に作った飼料ばかり食べさせていると、あるとき牛は脱柵します。柵の外に生えている草を食べるために、電気が流れている鉄条網を踏み倒して外に出るそうです。いのちを守るためには、集団で脱柵することもあるとか。人の場合はどうでしょう。 水耕栽培とか、化学肥料ばかりの栽培で色や形だけ美しくした作物が生まれても、その実、農作物の栄養価はどんどん下がっています。そのことを誰も問題にしません。牛は本能的に脱柵してでも自分のいのちを守りますが、人間はこの状態に気づいていても「脱柵」しようとしません。

「一腹搾り」という好ましくない飼育法があります。

本州では広い土地がほとんどなく、あったとしても地価はとても高額です。そのため牛を牛舎に入れて、人間の作った配合飼料で育てるのが主流になります。このような飼育環境では、牛の種付けは不可能に近いといわれています。そこで、すでに妊娠した牛を北海道から買ってきます。「孕み牛」です。

出産直前の孕み牛を連れてきて出産させ、餌でコントロールすると、その後何年でも乳を出しつづけます。搾るだけ搾って乳が出なくなったら、次は肉牛として出荷できるように、また餌でコントロールします。牛をこのように扱うことを一腹搾りといいます。
出産させるのは一度だけ。 二度目の妊娠はさせず、乳を搾れるだけ搾って肉牛にします。本来なら、牛は四産か五産です。 昔は十産もあったと聞いたことがあります。
妊娠すると十ヵ月間、お乳を搾れません。餌は食べるのに、収益があがらない日が続きます。牛は一日四〇キロほどの餌を食べます。それが十ヵ月続くのです。本州の酪農場ではそれを避けるため、人間がコントロールした餌を食べさせて何年間も乳を搾りつづけ、そのあげく、肉牛にして売り払うわけです。

その点、北海道では自然に生えてくる草を食べさせることが可能なので、飼料代は低くおさえられます。飼育環境も良いため、種付けの成功率も高くなります。こうして妊娠した孕み牛を、本州の酪農家が買い求めます。

岡田先生は自ら牛を飼育しながら、そういうあり方について不信の念を募らせていました。たとえば、多くの酪農家が牛に抗生物質や薬剤を与えます。まだ病気になってもいないのに、予防のため抗生物質を打つこともあります。 抗生物質は牛の体内に留まり、その成分は牛乳の中にも体の中にも残ります。その肉を人間が食べれば、その成分は人間の体内に取り込まれることになります。牛が病気になったり死んだりすれば、経営は苦しくなります。そのリスクを回避するために薬剤を使うことが多いといいます。犠牲になるのは牛ですが、とどのつまりは、人間です。


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