神楽坂123青木さんの四季折々つれづれ食材コラム

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小松さんの無農薬白米 会との出会い

梅干しご飯
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小松さんの無農薬白米 会との出会い

梅干しご飯

会津の小松米との出会いはまた人との繋がりでできたご縁でした。

お米の入手先を失って困惑していると、知り合いの有機農業研究会の一楽理事長のご紹介で、以前から山菜やおそばの購入先だった、福島県奥会津・三島町の小松正信さんが、棚田のような田んぼでお米を作ってくれるということになりました。

東北新幹線で郡山まで行き、磐越西線に乗って会津若松へ、そこから只見線に乗り換えてトコトコ揺られ、六時間をかけてやっと着くのが新潟との県境に近い三島町です。その後何度も出かけて交流することになりますが、遠すぎて誰も行きたがりません。

「紅葉がすごいのよ」「山菜採りに行こう」とあの手この手で声をかけ、ようやくみんなで行くようになりました。


三島町に行って驚いたのは、有機農業を旗上げしようとする青年たちがいっぱいいたことです。村興しをしようとパワーのある佐藤長雄町長が先頭に立ち、みんなを率いていました。

昭和四九(一九七四)年から「特別町民制度」を設け、首都圏の人たちにふるさと興しへの参加を呼びかけました。
その後10年かけて「生活工芸運動」や「有機農業運動」を育て、その勢いで地域の産業興しに発展し、 「花嫁の来たくなる町」を目標にがんばっていました。 三島町は「桐の里」という町ブランドを「生活工芸運動」のひとつとして立ち上げています。

会津桐を使った桐ダンスはまことに丁寧に作られ、ため息をつき、ほれぼれと見入ってしまうほどの逸品です。

小松正信さんたちは、このような町興し機運に盛り上がった環境で、お米、タバコ、ソバなどを作っていました。本来お米専門ではなく、タバコと養蚕の農家でした。

幼いころは家中にお蚕さまがいて、横になると、お蚕さまのサワサワと動く音が気持ちよかったそうです。

やがて家の百姓仕事を手伝うようになり、見たままに覚えていったとか。小松さんは次男ですが、お兄さまが早くに亡くなったため、家を継ぎました。小さな田んぼを持つ小規模な農家です。

ところが米作り農家の老齢化の波を受けて「代わりにやってくれ」と依頼されたことをきっかけに、現在、一二町歩 (一町歩は三〇〇〇坪)まで田んぼを増やしています。有機農業は難しいといわれますが、小松さんは大量に収穫しようとがんばらなかったそうです。

太陽の力と地力のバランスで収穫量は決まる。それ以上採ろうとすると、作物が病気になってしまうのだとか。

「食べものから歩き出す会」のメンバーで私が片腕としてもっとも信頼していた松本万樹子さんが、 それから間もなく小松正信さんと結婚しました。

小松正信さんは、訥々と語り、軽薄な言葉は口にしないお人柄。もし万一、小松さんから「どうしても今年は化学肥料を使わざるをえなくなった、農薬もどうしても必要だ」と相談されたとしたら、私は決して否定しないでしょう。それもよしとすると思います。すべては人から始まります。

私は市井の黙々と働く人が好きです。

たくさんの人と人との関係のなかで、自分の思いを貫きつづけるのは、簡単なことではありません。これは、私がこの運動を通して学んだひとつです。「収量を増やすためにはこうしろ」とか、「効率を上げるためにはこうしなきゃ」とか、そういう横槍を一切脇に置いて、「自分が信じるのはこの道ですから」と黙ってそれを続ける。そういう人に、私は感動し、感謝の念を感じずにはいられません。

こうして作りつづけられる小松米は、「乳研連合会」や「食といのちを守る会」のメンバーにいちばん喜ばれます。食卓に並ぶ食材の中で、お米はやっぱりメインなのですね。

このお米を年に二トンほど会員と関係者にお配りしています。年に四回搗いていただく白米・玄米のお餅も大好評です。特に、お歳暮の贈答品として喜ばれています。


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